コービーとジョーダン
コービーはしばしばマイケル・ジョーダンと比較されることがある。同期のアレン・アイバーソン、若手のレブロン・ジェームスなど、これまでに多くの選手が同じようにネクスト・ジョーダンと目されてきた。しかし、コービーほど極端に比較されてきた選手は他にはいない。それは、ポジションとプレイスタイル、体格と身体能力、ともに闘争心旺盛でかなりの負けず嫌いであること、果てはフリースローの仕草など、類似点が非常に多いことが理由として挙げられる。 事実、プレイスタイルなどは幼い頃からブルズの試合を何度も見続け、ジョーダンの動きを真似ようと研究していたと本人が話している(ディフェンスに関しては、ジョーダンよりスコッティ・ピッペンを参考にしていたという)。 ジョーダン自身も、1998年のオールスターゲーム終了後、後継者としてコービーを指名している。2003年のオールスターゲーム後も、次代を託した多くの選手の一人としてコービーの名を挙げている。
プレイスタイル
現在NBAで最も完成された選手の一人。現役屈指の1on1スキルを誇り、そこから繰り広げられるオフェンスバリエーションは実に多彩。ペネトレイトからのレイアップやダンク、ミドルレンジでのターンアラウンドやフェイダウェイを主に得意とするが、相手ディフェンダーと正対しながらでも強引に決められるスリーポイントなど、得点エリアが非常に広い。パスにおいても、ポイントガードばりにさばける腕をもつ。また、鍛え上げられた身体と秀でたボディバランスでファウルを受けながらもシュートを決め、バスケットカウントをものにすることもできる。一試合フルに出場できるほどのスタミナも兼ね備えており、随所で見せる高い集中力と相まってゲーム終盤で重要なシュートをことごとく沈める「クラッチシューター」でもある。
名実ともにレイカーズのエースであることは間違いないが、これまではプライドが高すぎたせいか、自身の得点にこだわりすぎる一面があったり、チームやメンバーに不満を漏らしたりと、たびたび「セルフィッシュ」と批判されることが多かった。しかし、近年ではそういった面での成長も見受けられ、チームメイトを鼓舞して活かすプレイが目立つようになるなど、キャンプテンシーも備えつつある。とくに2007-08シーズンはチーム全体を絡めたオフェンスをうまく展開し、単独政権下において自身初となるシーズンMVPの受賞とともにウェスタンカンファレンス首位を獲得したことに対して高い評価を得た。現在はワンプレイごとに自分の役割を把握し、いい意味でオフェンスに対する執着心が薄れたといえる。
オフェンスでの存在感ゆえにそればかりが注目されがちではあるが、ディフェンスにおいても現役屈指の能力を誇る。現在まで8度オールディフェンシブチームに選出されており、うち6度は1stチームである。ディフェンスはリアクションではなくアクションだといわれる通り、常にアグレッシブにスティールを狙う姿勢を見せている。対照的に、相手との絶妙な距離間を保ってチームメイトのいる袋小路に追いつめるなど、駆け引きにも秀でる。また、2008年発行のダンクシュート誌によれば、「現役選手が選んだ最もディフェンスされたくない選手(=最もディフェンスのうまい選手)」の1位がコービーであるとのこと。
レイプ・スキャンダル
ブライアントの若さや容姿、プレイスタイル、成績は彼をNBAで最も人気のある選手の一人としたが、コロラド州のリゾート・ホテルにおけるレイプ・スキャンダルは彼の人気の多くを奪った。ブライアントはスキャンダルの結果マクドナルドとイタリアの菓子メーカー、フェレーロとの契約を失った。
2003年6月30日にコロラド州イーグル郡エドワーズのコロラド・ホテルでフロントデスクとして勤めていた19歳の女性が、同州に膝の治療の為に訪れ、同ホテルに滞在していたブライアントにレイプされたと訴えた。ブライアントは7月17日に逮捕されたが、直ちに保釈された。彼は女性との関係を認めたが、合意の元であると主張した。
裁判はシーズン中にも行われ、彼はその都度コロラドの裁判所に出頭しなければならず、肉体的・精神的消耗が激しい上に練習不足の状態で試合に出なければならないことも度々であった。また、試合中も激しいブーイングに悩まされた。しかし、ブライアントはタフな精神力を見せ集中力を切らすことなくシーズンを終え、まずまずの成績を残した。
女性の証言にも矛盾する点が多々見られ、結局この件は、2005年オフに示談となった。
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